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- インタビュー
2023/12/26
住友商事株式会社 COCAFEリニューアル インタビュー
参加者紹介
住友商事・文書総務部の方々(SC)
住友商事株式会社
文書総務部 部長代理 総務第二チームリーダー 杉浦博一氏:左
文書総務部 総務第二チーム サブリーダー 美野大輔氏:右
文書総務部 総務第二チーム 伊藤都氏:左から2番目
文書総務部 総務第二チーム 上村葵氏:右から2番目
住商インテリアインターナショナル株式会社(SII)
第一事業部 副部長 中村真純
第一事業部 三木博紀
デザインユニット 勝沼早苗
プロジェクトの背景
社員食堂のリニューアルの経緯
SC伊藤氏:今回の社員食堂リニューアルには2つの理由があります。
1つ目は、テレワークや自律的な働き方の浸透など、社員の働き方が変化したことで、これまでとは食堂の利用方法が変わったことです。
2つ目は、社員が懇親を図れるような環境を増やそうと、26階の空いているスペースを活用したいと考えたことです。
以前は750席ある広々とした空間で、画一的に机と椅子だけが並んでいましたが、そのままでは懇親の場としては不十分でした。そこで、エリアを分けて、カフェやホテル、空港ラウンジのような空間に変え、終日利用可能にしたいと考えました。
これが今回のリニューアルで大きく変わったポイントです。
SIIに依頼した経緯
SC伊藤氏:住商インテリアインターナショナル(以降SII)に依頼した経緯は、2018年の大手町への本社移転の際に、什器関連の調達をお願いしたことにあります。
今回のリニューアルでは、予算も限られていたため、活用できるものは残そうと考え、既存什器の転用などを含めて依頼しました。移転後もオフィスの什器を追加購入するなど、継続的なお付き合いがある中で、既存の什器についても熟知されており、その活用についてもご提案いただけると、今回もお願いしました。
依頼内容は、実施設計から家具、グリーンの選定、設計施工まで全てです。
デザイン自体は日建設計にお願いしましたが、それ以降のリニューアル作業は全てSIIにお願いしました。
SIIの担当パート
SII勝沼:内装、プロジェクター用のウォールスクリーンを追加、ペンダントライトを追加するなどの工事を行いました。
また、個室にするために引き戸を設置するなどの工事も実施し、予算や納期を考慮しながら、イメージを崩さないようにご希望を実現するため、造作家具も製作しました。
また、既製品の家具の選定もさせていただきました。
日建設計の方で選定はされていましたが、既存什器の転用との兼ね合いなどバランスの調整を行いました。
フェイクグリーンの選定も行い、食後の空間がリアルな雰囲気になるよう工夫し、さらに、エリアのサインも今回初めて製作しました。
SII中村:SIIとしては、決定プロセスを安心して進められるようなアプローチを心がけ、イメージを具体化するお手伝いをしました。
コンセプト
豊かなひと時を過ごせる多目的空間
SC美野氏:コンセプトは、先ほど申し上げた経緯の2つのポイントがもとになっています。
社員がそれぞれ自律的な働き方に応じて「豊かな」ひと時を過ごし、エネルギーをリチャージできる「豊かな」空間にすることを目指しました。食事や休息の場としてはもちろんですが、それだけでなく、例えば気分を変えてのソロワーク、ミーティング・雑談などのコミュニケーション、研修やイベントの場など、色々な目的に活用してもらえるようにすることで、アウトプットの最大化につなげてほしいと考えたものです。
プロジェクトの難しかったポイント
SC伊藤氏:やはり難しかったのは、しっかりとしたコンセプトづくりと、いかにコストを抑えてコンセプトどおりの空間を創り出すか、ということですね。いずれも多くの方々の協力やアドバイスをいただきながら、SIIを含む関係者の皆さんと協議・調整をしつこいくらいに重ねました(笑)。おかげさまで実現できたと感じています。
SC上村氏:コンセプトを考えるに当たっては、社内の20代から50代の男女11名にも他社の食堂の見学に同行してもらい、さまざまな意見を出してもらいました。コンセプトの具現化には、SIIや日建設計にも協力を仰ぎました。
SII勝沼:本当に様々な年代の方から意見が出され、集約するのが大変だったと思います。私からも食堂やフードスペースの事例を提示し、少しでもお役に立てればと思っておりました。
SC上村氏:社員からは、例えば、他社の食堂のように「目線を変えるために床の高さを変えたらどうか」といったアイデアも出ましたが、それは様々な制約もあり難しい状況でした。そのような時も、例えば床の高さを変える工事を行う代わりにハイテーブルを設置するといった、実現可能な範囲で希望に沿う方法をSIIには一緒に考えていただきました。
住商インテリアインターナショナルの印象
SC上村氏:コンセプトを落としこんで日建設計に作っていただいた素晴らしい空間プランを実現するには予算的に難しく、イメージを崩さずに調整するのは素人である私たちがやるのは至難の業です。SIIのおかげで、イメージを崩さずに、既存の什器を再利用し、予算内で実現することができました。
SII勝沼:椅子の選定では、試しに色々な椅子に座っていただき、好みの椅子を選んでいただきました。予算の関係で選択肢が限られてしまったため、ダイニングエリアでは既存の什器と組み合わせるなどして、日建設計のデザインをできる限り保ちつつ、実現可能なものに調整し、執務エリアからの什器の転用も行いました。
SC上村氏:オフィスフロアの状況も熟知しているSIIだからこそ、このような提案をしていただけたと思います。
SC伊藤氏:SIIの提案で、オフィスエリアの什器をCO CAFEで転用することになりましたが、誰も気付かないほどうまく調和していると思います。
SII中村:日建設計も気付かないほど自然な転用提案ができました。オフィスフロアの状況を熟知していたことが、提案しやすかった理由だと思います。また、しっかりとしたコンセプトがあり、そのコンセプトに沿った転用の提案ですので、承認いただけると思いました。
SC上村氏:予算的に造作什器を新たに調達するのはハードルが高かったのですが、SIIが素材やデザインを変更することなどにより予算調整の提案をしてくださり、コンセプトを崩さずに済みました。
SII勝沼:ブースの側面のみを新たに製作し、中のソファー等は既製品を組み合わせることを提案しました。全てを新しく製作するのではなく、既製品との組み合わせを提案したことが、コストを抑えられた理由だと思います。弊社が長年培ったノウハウを活用し、ご提案しました。
求められる要件へのSIIの対応
SII中村:お客様のご要望が予算的に難しい場合でも、最低限守らなければならないことがあります。
例えばコンセプトであったり、飲食店やカフェでしたら、それに耐えうる素材など、用途に応じた必須要素があります。
予算面だけを考えて提案すれば良いわけではなく、どこを守り、豊かな空間を創造していくのかという議論が重要です。
例えば、執務エリアにある椅子が素晴らしいもので、もったいないから絶対に使いたいという場合、転用で済めば費用削減にもつながります。
SC上村氏:進め方として、最初に私たちなりにこの椅子はやめたいや、あの什器が使えるのではないかといったアイデアを出し、その後、プロの目線で全体の調和やバランスの調整をお願いするといった形が多かったです。 また、予算上、これは買わない、これは諦めますとはっきりお伝えした部分もありました。
SII勝沼:コンセプトもしっかりしていて、予算感覚もお持ちでしたので、何をやめるか、何が変えられるかという点で、はっきりとした意志をお伝えくださいました。
社内でも協議し、私どもの過去の事例を参考にし、提案した際も、ご意見をはっきり言っていただけたので、助かりました。
最初は本当に予算のことでお悩みでしたので、その点で何とかお役に立てないかと考えました。オフィスの場所、そして既存の什器も活用しながらというご希望で、今回は私どもにとっても大変勉強になりました。
SC上村氏:2018年に本社移転してからまだ5年経っていないタイミングであったため、今回フルリニューアルを行うには相当な勇気が必要で、そういった意味で予算にも制約がありました。
SII勝沼:照明や家具などの選択につきましては、まず文書総務部からコンセプトを日建設計に伝えていただきました。その際の基本計画書の中に、ペンダント照明や家具などの大枠の基本デザインがあり、それに基づき、実施設計を進めさせていただきました。
既に選択されているものでも、輸入が難しい場合は、イメージに合う他の商品をご提案しました。また、今回はカフェスペースだったため、水を弾く素材などを選んで、文書総務部と日建設計の皆様と共に決めていきました。
SII勝沼:例えば椅子についてですと、具体的にレザー張りでと決められているようなものも、素材や質感などのご希望を一つ一つ、再度ご確認させていただきました。
SC上村氏:生地のサンプルなどを全てそろえ、日建設計と私たちで一堂に会し、これは良い、これはイメージと違うなど確認していきました。私たちがOKとしたものでも日建設計的にはNGとなることもあり、大変な部分もありました。
SII勝沼:いくつかの色合いをご用意し、文書総務部からの承認も得ていたので、スムーズに進むだろうと思っておりましたが、日建設計や私ども含め、プロの目線を通して再度綿密に確認していく中では、最終的にNGとなったこともございました。
SC上村氏:虫を寄せないために、社員食堂で使用されるすべてのグリーンをフェイクにしたこともあり、人工的な雰囲気になってしまわないか心配していましたが、検討対象のアイテムのサンプルをすべて持参していただき、使用してほしくないものをあらかじめチェックできたので、自然な雰囲気に仕上げられたと思います。事前に確認できたのは非常に助かりました。
SC杉浦氏:2018年に本社を移転した際、このビルが竣工し、内装工事を進めながら大量の什器を搬入、設置しました。その時、中村さんはじめSIIの皆さんが、非常に真摯に、短期間で対応してもらい、引越工程の短縮化に貢献して頂くなど、素晴らしい実績をあげてくださったことがあり、今回も同様に対応頂けるだろうと信頼していたとおりの成果をあげて頂きました。
SC伊藤氏:オープン後に起きたちょっとした問題や、「この汚れは取れますか」といった小さな質問にも、常に細かく回答をいただいています。2018年以降良好な関係性が続いているので、メンテナンスやアフターフォローといった部分も安心して任せることができます。
SC美野氏:オリジナルの造作家具を導入したいという場合も、既製品を選択する場合もその両方に対応していただけるので、トータルで対応していただけることはSIIの強みだと思います。 家具製作の現場に同行させていただいた際にも、細かい部分にも目を配り、大きな家具や、設置や組み立てが難しいものにも注意深く対応していただいていたのを目にしましたが、その点は非常に感謝しています。
SII中村:私たちの会社は、単に寄り添うだけでなく、持っている知見を発揮し、施主側のパートナーとしての役割を果たすことを目指しています。
SIIが果たした役割
SC上村氏:
予算の制約に直面した際には、例えば入口のカウンターのような造作家具は一部を諦めるべきか悩みましたが、
「入口は最初に目につく場所ですから、そこが変わらなければ全体の印象が変わりません。そのカウンターだけは残した方がいいですよ。」とアドバイスをしていただき、結果としてそのカウンターを残して本当に良かったと感じています。
特にこれは自分たちだけで判断していたら一番危なかった部分です。引き算の検討部分でも、本当に重要部分を引いてしまわないように、アドバイスいただいて良かったです。
SII中村:私たちはインテリアのコンサルティングを主な売りにしているわけではありませんが、今回のように、2018年に納品した商品を単に捨てて新しいものにするような提案はしません。
世の中の環境問題も考慮に入れ、再利用できるものは再利用する方法を提案しています。このような提案ができるからこそ、マネジメント面の信頼を得ていると考えています。
必要なものはそのまま活用し、不要なものは省くという提案をしています。例えば、このカウンターは重要な要素で、残すべきだと明確に伝えることも、私たちの提案の一貫です。つまり、足し算や引き算を考慮して、適切な提案をすることが、皆さんにお話いただいた内容にもつながっていると思います。
リニューアル完成後
社員の方々や訪問者の反応
SC伊藤氏:非常に好評です。リニューアル初日から、入口から入った途端に社員の方々の表情が一変するのを目にしましたが、明らかに違いを感じていただけていると思います。
「良くなった」と直接声をかけていただくことも多く、その反響にはとても満足しています。特に、パブやパーティーの予約が増え、ブース席も終日活用されるようになりました。
SII勝沼:今日もブースが活用されているのを見て、私たちがイメージしていた通りの再現ができていると感じています。改修前と比べて、食事時にはさらににぎやかになり、大変満足しています。また、何かが壊れたり、追加の必要があるということもなく、順調に運用できていることが嬉しいです。
SC伊藤氏:ワークスペースの利用が増えており、オープン翌日には社内で「ここで打ち合わせをしよう」という声が聞こえてくるなど、皆さんに気に入っていただいたようです。
SC上村氏:社内の打ち合わせだけでなく、お客様との商談も含め、このスペースは大変好評です。お客様が感動されるほどで、私自身もこの空間で商談を行った経験があり、その効果を実感しています。
SII中村:このエリアが11時半から13時半までのみ利用され、朝や夕方の時間帯が活用されていないのは、とてももったいないことです。
私たちが行っていることは、新たなワークスペースの創造です。この場所が朝から夜まで効率的に使われるようになれば、リニューアルに投じる費用は決して大きなものではありません。その点を慎重に考慮していました。
SC上村氏:リニューアルにより、効率的な活用が可能となり、朝から夜まで以前には考えられなかったほど多くの人々が利用しています。
SC杉浦氏:リニューアル前は、フロアの端から端まで見渡せるような画一的なレイアウトでしたが、目隠し部分ができたり、クロスポイントが設けられたり、また、緑を取り入れることや、目的に応じた複数の空間を設えたので、活用し易い場所がかなり増えたと思います。
SII中村:それが執務エリアでもなく、会議室でもないことから、ワークスペースとしてカフェエリアが選ばれる理由だと思います。
SC上村氏:夜は特にこの空間に合うように考えられた照明が魅力的です。ハイカウンターに料理や飲み物を並べ、素晴らしい雰囲気の中でパーティーを開催できるようになり、嬉しい誤算なのですが、ほとんど毎日予約が入っている状況です。
SII勝沼:設計は、終わったらそれで全てが完了したわけではなく、実際に運用して初めて価値が生まれると考えています。
使っていただいているシーンを見ると、とても嬉しく感じます。
最後に
SC杉浦氏:プロジェクトが円滑に進行している時には特に心配はいりませんが、時として困難な状況に直面することがあります。そんな時に親身に相談に乗っていただき、的確に対応してくださる信頼関係があると思っています。
SII中村:私たちの目的は、単につくることではありません。このCO CAFEが有効に利用されることで、皆さんの努力も報われると思います。期待に応え、さらに良い効果を生み出していけるよう、他のフロアの活用などにも今後、ご協力していきたいと思います。
SII勝沼:今日、CO CAFEにたくさんの利用方法があることをお聞きできました。そしてリニューアルを実施し、本当に良かったと感じています。
皆さんが活用している姿を見て、さらに多様な活用法を考えていきたいと思います。他のフロアとの連携や、さきほど話題に出たWEB会議の件など、スムーズに進められることを期待しています。
SII三木:実際に作業を進めている間は、毎週のように状況を見守りながら無事に完了できるか・・・・と考えていました。
一通りの作業は完了しましたが、これからさまざまな課題が浮上するかと思いますので、その際はぜひお声掛けください。
このCO CAFEを含め、様々なフロアでリニューアルなどのご協力を続けていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い致します。
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