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2023/06/28

住友生命・新東京本社移転プロジェクトインタビュー

住友生命・新東京本社移転プロジェクトにて、ご一緒させていただいた
「住友生命」のお二人にインタビューさせていただきました。


住友生命保険相互会社
総務部 上席部長代理 上和田 諭氏 :左 
総務部 総務室 主任 山下 有也氏 :右 

住商インテリアインターナショナル株式会社
第一事業部 第4ユニット ユニットリーダー 小玉 恒一郎
第一事業部 第4ユニット 横岡 進一


今回の新東京本社の位置づけ

住友生命新東京本社エントランス

上和田氏:住友生命の東京本社は、企画部門、一般管理部門、リテール・ホール・代理店の各営業統括部門、資産運用部門等で構成されています。従来、築地にオフィスを構えておりましたが、2023年2月に東京ミッドタウン八重洲に移転いたしました。現在、東京本社には約2000名の職員が勤務しています。

東京本社移転の目的、プロジェクトの特徴

上和田氏

上和田氏:もともと東京駅前に賃貸ビルを所有しておりましたが、2017年に再開発計画に参画することを決定したと同時に、東京本社を日本有数の立地条件でブランド力を有する東京ミッドタウン八重洲に移転することを決定いたしました。

移転の狙いは様々ですが、とりわけ重視したのは、働き方改革、生産性及びブランド力の向上です。この時期は、多くの企業が「働き方改革」を推進し始めた時期でもあります。当社も2018年度から、「お客さま本位の仕事への転換・集中」「健康でいきいきと働く職場の実現」をすることでお客さま目線での生産性の向上を目指す「WPI(Work Performance Innovation)プロジェクト」に社をあげて取り組んでおり、移転するにあたってWPIプロジェクトをさらに加速させ、移転後には新しい働き方にふさわしい先進的なオフィススタイルを採り入れることを計画しました。

また、当社および当社グループは、2030年時点のありたい姿を「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」とし、保険や健康増進といったお客さまのニーズに応えていく領域はもとより、地域再生や地球環境といった社会課題の解決にも取り組み、すべてのステークホルダーの「よりよく生きる=ウェルビーイング」を支える取り組みを進めています。持続可能な未来を実現するために、新しいオフィスで新しい働き方にチャレンジし、すべてのステークホルダーに向けて様々な価値を提供していくことを目指しています。

このプロジェクトに関わったのは、事務局となった担当部門だけではありません。働き方改革の観点から、実際にこれから長く働く20代や30代の若いメンバーで構成する若手PTも結成してプロジェクトを推進してきました。

山下氏:働き方改革と言いますと、一般的には生産性向上のために既存業務を削減する方向性がとられることが多いですが、私たちの東京本社では、新しい価値を生み出すことに重点を置いています。若手職員や勤続10年前後の職員たちが集まり、今何が問題で、何を解決しなければならないかを話し合い、進めてきました。

若手PTが議論した結果、大きな問題として挙げられたのは、「プロセス」、「コミュニケーション」、そして「自分ごと化の欠如」の3つでした。プロセスについては、縦割りの承認が多く、時間がかかることや、末端の声があまり反映されていないこと。コミュニケーションについては、移転前の築地オフィスでは、フロアをまたいだ職員同士の交流が少なく、所属ごとに、目に見えない物理的な壁があり、社内コミュニケーションが不十分であったこと。「自分ごと化の欠如」については、各部門が社内外に様々な発信はしているものの、他部門が行っていることとして互いに感心を持たない結果、各々の全社的な視野が狭くなっているといった点が問題視されました。

2月末に移転が完了してから3ヶ月ほどが経ちましたが、専用部内に設置した内部階段やコミュニケーションエリアでの会話が活発になっており、入社して間もない職員やあまり会うことのなかった職員同士の交流機会も増え、社内コミュニケーションが活性化していると感じています。

山下氏
上和田氏

上和田氏:間仕切りや役職者の固定机を設けないフラットでオープンな執務フロアやフリーアドレススタイルによって、他部門とコミュニケーションを取りやすくなっています。ちょっとした相談もしやすくなり、社内の風通しが良くなりました。また、内部階段により、上下階の移動がスムーズになり、階段を降りればすぐにコミュニケーションをとれるスペースがありますので、他の階に入居している部門とのコミュニケーションのハードルもさがっています。偶発的な出会いによるコミュニケーションの機会も増え、新たな展開や発想が生まれることを実感しています。

これまで関わりの少なかった部門の上司や、他の部門の部下とも接触する機会が増えました。社内の距離感が、以前とは比べものにならないくらい大きく変わったことに、本当に驚いています。私たちはこれを「タテヨコナナメのコミュニケーション」と言っています。

内部階段周りに配置した5カ所のコミュニケーションエリアは、誰でも自由に利用できます。ここに集まって打ち合わせをすることも可能です。このエリアによってコミュニケーションのハードルが低くなり、活発になっています。5つのエリアにはそれぞれ異なるテーマが設けられており、特徴的な家具を配置しています。たとえば、「ライブラリ」というエリアでは話題の書籍や定期刊行物の閲覧、あるいは、大画面モニターを利用しての打合せ等が可能です。さらに、「リビング」や「キャンパス」、「バール(BAR)」に加え、屋外空間を演出した「ヒルサイド」があります。ヒルサイドでは、執務エリアとは異なる開放的な気分で打ち合わせを行うことができます。

また、オフィスコンビニやコーヒーサーバーなどもあり、他部署の人と一緒にコーヒーサーバーを利用すると無料になるキャンペーンなど、コミュニケーションを深める施策も行ないました。

コミュニケーションエリア
コミュニケーションエリア
コミュニケーションエリア

24階 エントランスエリアのエピソードや仕掛け

24階エントランスエリア
上和田氏

上和田氏:24階のエントランスには木をふんだんに使用しています。これはサステナブルという観点に加え、一般的な企業の本社に見られる大理石などを中心に設えた硬い雰囲気を和らげる演出を意識しています。

また、エントランス内には大きめの植栽を複数配置しました。これらの植栽は執務エリアにも設置しています。ご来訪の方や職員がリラックスできるような優しい雰囲気を作り出すことを意図しました。

東京本社移転プロジェクトでは、「つながる・ひろげる・先へいく Challenge∞Change」をグランドコンセプトとして掲げています。コミュニケーションの重要性は前述しましたが、それだけでなく、職員の視野や人脈・可能性を「ひろげる」ことを意図しています。エントランスの中心に位置する木のオブジェは、中から光があふれ出て、放射線状に広がる形状の円形デザインを採用しました。また、外部からも光が入るような設計となっており、つながりを「ひろげ」、「先へいく」イメージを演出しています。

さらに、エントランスにはアウターブランディング情報を放映するマルチビジョンや、当社の主力商品である「住友生命Vitality」の関連情報を提供するカウンターも設けました。

24階エントランスロビー

エントランスの24階から階段で降りると応接エリアになっています。階段周りは吹き抜けになっており、吹き抜け中央部分に「シンボルツリー」を配置いたしました。この木は「ベンジャミン」といい、『幸福をもたらす木』といわれています。応接エリアにはガラスのパーテーションを設け、外からの光をたくさん取り込めるしくみになっています。

幸福をもたらす木
(ベンジャミンの木)

23階 応接室・会議室

23階 役員応接室

上和田氏:役員応接室にはSII様から選んでいただいた家具を配置し、雰囲気にもこだわりました。応接室の一室には、我々住友グループの源流である別子銅山に関連する装飾として、銅箔を使用いたしました。

23階 応接室
23階 応接室
社内会議エリア(アクティブタイプ会議室)

山下氏:応接エリアは、東京駅前という好立地により多くのお客さまの来訪が見込まれるため、一部屋当たりの席数を多めに確保しています。また、社内会議室は様々なタイプの会議室を準備しています。アクティブタイプ型会議室は、机と椅子が1セットとなっている、キャンパス風で動きやすいフレキシブルな家具を備えた部屋で、リラックスして打合せができるスタイルといたしました。従来の会議室のスタイルにとらわれず、社員の目線で使いやすく、柔軟性の高いスタイルを積極的に取り入れています。

多目的型の応接室兼会議室
社内会議エリア

上和田氏:これまでに大人数を収容する応接室はありませんでしたが、八重洲新本社に多くの来客を迎える必要性を感じ、多人数で打ち合わせができる応接室も設けることにしました。
また、来客のスタイルも、一部の方がウェブで参加するハイブリットスタイルが多くなってきました。そのため、最新のWEB会議システムやICT機器を応接室に標準装備いたしました。各部屋にはプロジェクター、ディスプレイなどが備えられており、来客時に積極的に利用しています。

SII小玉:23階の一部会議室エリアに、家具、什器を納入させていただいたのですが、住友生命様からこだわりポイントとして、「我々らしくない色を取り入れたい」と要望いただきこれまで落ち着いたカラートーンの家具を使用されてきたという経緯から、カラフルなビタミンカラーのチェアの実物サンプルを試していただきながらご提案させていただきました。
対外的にどのような反応だったのか気になっているのですが、いかがでしたでしょうか。

SII 小玉
上和田氏

上和田氏:前述のアクティブタイプ会議室にはSII様のご提案で、テーブル付チェアにビタミンカラーを取り入れました。非常に好評です。また、この会議室は、東京本社内向けだけではなく、お客さまや全社に向けたプレゼンテーションを行うなど情報発信ルームとしても活用しています。
とても映像映えしますし、使い勝手も良いです。なかなか我々ではこういった家具を導入するという発想は思い浮かばないです。職員の間でも人気で、部屋の予約がなかなか取れないような状況です。

山下氏:アクティブタイプ会議室は、ビタミンカラーや家具と色の組み合わせにより、会議室の雰囲気が柔らかく、自然なディスカッションが行えるようになりました。

また、アクティブタイプの他にも、シアタータイプの会議室を設置しています。着席場所が階段状に配置されており、講師が演台側に立って話すプレゼンスタイルです。

これまでの会議室は、上司に報告する場所や堅苦しい雰囲気で少し硬くなって話す場所という印象がありましたが、新しい家具や色の効果により、雰囲気も柔らかくなり、リラックスして報告や議論が進むようになりました。家具や色彩の効果により、より柔軟な発想や新しい提案が生まれるような環境が整いました。

家具の選定にあたっては、私たちだけで考えると、なかなか新しい発想が出にくいところでしたが、それを解決するための提案をいただけたことは非常に良かったです。家具やカラーの選択が、会議室の雰囲気やコミュニケーションに大きな影響を与えていることを実感しています。

山下氏

22階 カフェラウンジ

22階 カフェラウンジ

山下氏:カフェラウンジの基本的なコンセプトは、食事するスペースのみに限定しない「多目的活用」です。

まず、若手PTの議論で、「食堂ではなく、カフェのような雰囲気の空間が良い」「明るいよりもシックな雰囲気が良い」など意見交換を実施しながら頭に思い描くイメージを共有しました。これらのアイデアをもとに、具体的な提案や図面を設計会社に作成していただきました。

また、食事だけでなく、打ち合わせやイベントにも利用できるハイブリッドな仕様にもこだわりました。ランチタイム以外の時間帯でも快適に仕事ができる場所として、さらに、お客さまや学生向けのイベント等も開催できる場所にいたしました。

先日の入社式でも、新入社員をカフェテリアに集めて、先輩社員との座談会を行いました。新入社員のモチベーション向上にもつながっていると感じています。

カフェラウンジエリア (ビューラウンジ)
カフェラウンジエリア (ビューラウンジ)

カフェラウンジエリアの一角には来賓用の個室を2部屋設けました。「ビューラウンジ」と呼んでいます。

家具は高級感のあるものを取り入れ、お客様を招いて食事会や打合せを実施できるスペースです。また、空き時間には社内でも使用し、ランチミーティングなどに使用しています。

窓から東京駅や丸の内方面の素晴らしい景色が臨めるうえ、個室の家具やインテリアは、私たちではなかなかセレクトできない上品でおしゃれなものをSII様にご提案いただきました。

この個室もとても人気があり、社内のセレモニーや慰労会などにも利用しています。素晴らしい雰囲気の空間が生まれたと思っています。

スタンディングエリア

SII横岡:22階のカフェラウンジは、一見すると一つのコンセプトですが、実際には複数のコンセプトが組み合わさっています。気軽に食事ができるエリアや個室エリア、スタンディングエリアなどです。スタンディングエリアでは、バーのような雰囲気を演出するために、ガラスや金属の光るアクセサリーを取り入れました。
家具だけでなく、そのエリアに合わせたアクセサリーを取り入れることで雰囲気を構築していきましょうと、皆さんと打ち合わせを行いながらすすめていきました。

山下氏:食事をするメインの場所からビューラウンジに至るまで、動線がちょうどつながっています。
インテリアを通じて雰囲気を変えていただけたと思っています。

SII 横岡

住商インテリアインターナショナルが果たした役割と今後への期待

上和田氏:移転プロジェクトには日建スペースデザイン様のデザイナーさんも関わっているのですが、SII様にはそこに独自の表情やアイデアを加えていただき、私たちが驚くような素晴らしいものに仕上げて頂きました。他の会社さんではおそらく、あそこまではできなかったと思います。特にインテリアの面では、当方の要望をそのまま実現してくれる会社はあるかもしれませんが、SII様には、良い意味で期待を裏切っていただき、同社の情報量と選択力で、私たちが抱える漠然としたイメージを具現化することに大きく貢献してくださいました。日建スペースデザイン様にグランドデザインを依頼し、それにSII様が表情を加えることで、私たちのイメージを超えるものが完成しています。
デザイン面だけでなく、一緒にプロジェクトを進めていくパートナーとしても、我々にぴったりでした。少し褒め過ぎかもしれませんが、本当に私たちの思いを理解していただき、感謝しています。

おかげさまで、新しいオフィスで働く職員のモチベーションも大きくアップしています。我々が目指している「お客さまや職員といったすべてのステークホルダーの『よりよく生きる=ウェルビーイング』を支える取組み」を新東京本社から発信していくことができそうです。

山下氏:どんなに些細な要望でも一旦SII様にお願いできたこと、そしてそれらに関してすぐに解決策を提案いただけたことは、本当にありがたいことでした。もしSII様がいなかったら、「様々な方面からのリクエストに応えきれなかったかもしれません」大変助かりました。

今後も職員からのオフィスに対する要望や、働き方等の環境変化が進み、SII様にご依頼する局面が出てくると思いますが、その都度今回のように、幅広い調達力を活かしてオフィスに適したアイテムをご提案していただけると、大変ありがたく思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

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インタビュー実施:2023年4月17日