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2023/03/10
「九段会館テラス」東急不動産様インタビュー〜レトロモダンな空間の実現〜
「九段会館テラスプロジェクト」にてご一緒させていただいた「東急不動産様」にインタビューさせていただきました。
東急不動産株式会社 都市事業ユニット
開発企画本部 開発第一部 事業企画グループ 課長補佐 伊藤 悠太 氏:左
都市事業本部 ビル運営事業部 フレキシブルオフィス推進グループ 黒河 健司 氏:中央
開発企画本部 開発第二部 事業企画グループ 下川 麻衣子 氏:右
「九段会館テラスプロジェクト」の位置付け
伊藤氏:九段下駅周辺には、あまりオフィスビルがありません。
しかし、千代田区役所や大手町から近く、線路も3路線乗り入れています。
また、皇居が見えるという景観の良さもあり、ビジネスエリアとしてはとても環境に恵まれているエリアです。
このプロジェクトは、国の歴史的な建物を保存・再建するという、東急不動産としてもはじめての取り組みでした。
元の建物である九段会館は、宴会場や階段室など内装が当時のまま色濃く残っているところが多くありました。そのため、保存建物の再開発という観点では、当時のまま保存する部分と、新しく作る部分のデザインがはっきり別れないようにするということが、今回の大きなチャレンジの一つでした。
九段会館プロジェクトの特徴/注力したポイント
伊藤氏:建物の保存方法について検討するにあたり、様々な文献を調べたり、九段会館と同年代の昭和9年に創建され現存している建物を見に行ったりしました。どのように保存していくのか、どの時代に戻すのがいいのか、設計士や施工者と話し合い、やはり創建当時の姿に戻すのが一番良いという判断になりました。
ただ、当時の情報があまり残っておらず、非常に苦労しました。残っている部分を昔の様相に戻すこと自体は可能なのですが、やりすぎてしまうとテーマパークのような造り物になってしまいます。
どうしても本物が同じ建物にあり、保存部分と新築部分が対比されてしまうためです。そのため、ちょうどよい形での「レトロモダン」に仕上げていくという点に注力しました。
住商インテリアインターナショナル(以降、SII)さんに納品いただいたカーペットは、レトロに寄せすぎることがなく、非常によく馴染んでくれました。
プロジェクトにおける、内装へのこだわり
伊藤氏:「レトロモダン」がコンセプトでしたので、それを実現するために、内装や家具、カーペット、壁の塗り方などにこだわりました。
内装は、保存部分のデザインをなるべく新築部分にも踏襲するようにしました。美術館などの保存建物は非日常的な空間だと思いますが、入口だけ非日常で、入ったら売店がすぐにあると興ざめしてしまうこともあると思います。
九段会館テラスでは、オフィス部分は日常の場所ですが、なるべくそのオフィスに入るまでは非日常的な空間を体感いただけるように設計しました。
入口はレトロで、オフィス専有部はモダンなデザインになっており、そこをうまく繋ぐことによりレトロモダンに仕上げていきました。
場所ごとに、ここは「レトロ」と「モダン」が50%だけど、ここは70%と30%など、微妙なニュアンスを表現したかったのです。
「レトロ」と「モダン」というのは、かけ離れたもので、思い描くイメージも人それぞれ違います。その「レトロ」と「モダン」をどう繋げていくのかというのは難しいところでした。
SIIさんのショールームに何度も足を運び、洗練されたデザインの商品がたくさん揃えられている中から選べたおかげで、レトロモダンをうまく表現できたと思います。
下川氏:今回、レトロモダンという世界観を壊さず、さらに良くしていけるよう全体的な統一を目指して家具を選定しました。
一番悩んだのは、3階のラウンジです。
カーペットと照明が物件コンセプトに沿って選定がされた上で家具を選定していくにあたり、性別を問わずいかに心地よく過ごしていただけるか、そして「レトロ」にも「モダン」にもよらず、という点を重視しました。
もう一つ「水辺に咲く」というコンセプトの空間もありましたので、そこではカーペットの印象的なブルーと水辺のイメージに合わせて、家具を選定しました。カーペットと照明がとても印象的な空間なので、家具はそこに馴染むように色味は抑えつつ、シックな形にしました。
また素材には石とファブリックを混在させるなど、冷たくなりすぎないように配慮しました。
伊藤氏:今回はSIIさんのカーペットを基準階の廊下にも採用しました。
最新のデザインでありながら、洗練されているがゆえに、レトロモダンにとてもマッチしました。
エレベーターホールは通常のオフィスビルにはない、モールなどの装飾がある織り上げ天井にしています。そこにはタイルカーペットを採用させていただきました。
特に3階のラウンジのカーペットは、象徴的なデザインのとても素敵なカーペットをご提案いただきました。
下川氏:全くの第三者的な目線でみたとしても、今回のカーペットは、最新のデザインでありつつ、床の色味、そして実際踏んだときの感触についても、とても温かみを感じ、親近感を持っていだだけるのではないかと感じています。
Business Airportの特徴、他社との差別化ポイント
Business Airport(ビジネスエアポート)〜東急不動産が提案する会員制シェアオフィス
空港のビジネスラウンジを思わせる上質で快適なオフィス空間を提供
黒河氏:Business Airportは当時、まだ日本でシェアオフィスが少ないときに始まった事業です。
2013年に1号店として青山店を開業しました。今回の九段下店で20店舗目になります。
元々はベンチャー企業、スタート・アップの方が、お客様を招けるような、「ビジネスを飛躍させる場」というコンセプトでした。
立地や住所、空間作りを重視して、日本企業特有の「おもてなし」「上質」をコンセプトに展開しています。
全店、内装のコンセプトは違いますが、どの店舗も空港のラウンジのような上質な空間作りを心掛けています。
現在では、シェアオフィスは都内にもたくさん展開されていますが、Business Airportは、これから事業を始められる方で、特にある程度既存顧客をお持ちの方々に多くご利用いただいています。
そういった方々が求める「おもてなし」や「上質」をコンセプトに作っており、他社のシェアオフィスとは違った空間になっております。
SIIさんには、私どものコンセプトにマッチした家具やカーペットをご提供いただきました。
Business Airport 九段下の評判
伊藤氏:Business Airport 九段下ですが、内装のコンセプトとしては、作りやすい物件でした。
建物は「レトロモダン」という明確な方針があり、かつそれがBusiness Airportのコンセプトとかなり近いものでした。そのため、内装もそれに合う重厚なものにしました。
その他の特徴としては、Business Airport 九段下に併設されているこちらの食堂は、一般の方も利用できるようにしておりますので、そういった用途にも合わせるため、清掃しやすい床材に変えたり、家具も汚れてもすぐ拭ける素材にしました。
黒河氏:床材はSIIさんの取扱商品を採用しています。Business Airportのコンセプトに合う商品ラインナップが多く、京橋や横浜など九段下の前に開業した他の店舗でもSIIさんの床材を採用させていただいております。
幅広いラインナップの中から、横浜の店舗では海辺のブルーが入った商品、九段下ではレトロモダンの重厚な商品をご提案いただけました。
費用対効果もちょうど合致するような商品をご提供いただけて感謝しております。
伊藤氏:当社の物件は10年ほど前までは小さなビルが多く、予算の関係からSIIさんの商材を扱う機会が少なかったですが、徐々に大きな物件を扱うようになり、ここ数年は連携が増えています。
商品自体のグレードの高さとデザイン性、提案力があると感じています。
無理難題を出しても、それに合うご提案をしていただき、今回もコンセプトにマッチした、非常に良い空間になりました。
どんなコンセプトでも、いい意味で売りになるようなご提案をいただけるので、今後も期待しています。
今ではカーペットのところに「住商インテリアインターナショナル」と書いてあると、「それがスペックになっているのであれば大丈夫だろう」と安心できるほど信頼しています。
下川氏:今回、コロナや自然災害の影響などで納品が遅れる取引先がたくさんありました。多くの取引先からは「だいたい何ヶ月遅れます」という大まかなご報告をいただくのですが、SIIさんは「今、この港にあります」など具体的な情報を逐一ご報告いただけたので、安心して待つことができました。
そういった真摯なご対応をいただけましたので、今後も安心してお取引きできると感じています。
黒河氏:
豊富な色やデザインから選択して発注することができ、レパートリーも豊富です。高い品質とデザイン性が私どものコンセプトにマッチしているというところが、一番の強みだと思います。
その他にも、さまざまな要望に対して柔軟にご対応いただき、とても助かっています。例えば、椅子の脚を変更したい、配置をこうしたい、などといった細かいことにもご対応いただき、感謝しております。
納期についても「船便では間に合わないが、航空便なら間に合います」と、難しい中でも実現可能な方法をご提案いただける点が強みだと思います。
SIIに対する今後の期待
伊藤氏:カーペット一つとっても全体の仕上がりがすごく変わると思っています。
設計者の選定もありますが、SIIさんの商品は良いものなので安心してお任せしています。
毎年新しいデザインも出していただいて、今後も楽しみです。今後も引き続きお願いしたいと思っています。
黒河氏:いつもコンペを行わせていただいているのですが、その中で毎回私どもの無茶な要望を踏まえてご提案をいただいた結果として、いろいろな物件でお付き合いさせていただいています。
ぜひとも、今後とも当社にお付き合いいただき、ご一緒できればと思っています。
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インタビュー実施:2022年12月20日