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2024/09/20

株式会社サンケイビル 学生レジデンス LEFOND ETUDE(ルフォンエチュード) インタビュー

右:株式会社サンケイビル 唐川莉乃氏
中:住商インテリアインターナショナル株式会社 佐々木宥香
左:住商インテリアインターナショナル株式会社 佐藤芙季子

新ブランド ルフォンエチュード3物件同時進行

サンケイビル 唐川氏:サンケイビルは、オフィス、住宅、ホテル、商業施設など、多岐にわたる不動産開発を行っております。
弊社にはいくつかのマンションブランドがありますが、今回の学生レジデンスは「LEFOND ETUDE(ルフォンエチュード)」というブランドの物件になります。
当ブランドは、ニーズが多様化した世の中に合った住まいを提供できるようにと、2022年にスタートしました。そのブランドの第一弾が、今回の国分寺、亀有、金町の学生レジデンスです。3物件とも、2024年1月から2月にかけて完成させることができました。

今回は3社からカフェテリアと居室のインテリアコーディネートのご提案をいただき、擦り合わせを行いました。
その中でも今回のブランドイメージに合ったご提案をいただいたのが住商インテリアインターナショナルさん(以下SII)でした。
SIIさんの学生マンションの実績、デザイン力や提案の内容を見た際に、率直に「これがいい」と強く印象に残った事が一番大きな要因だと思います。

ルフォンエチュードブランドのコンセプトやイメージについて

サンケイビル 唐川氏:「LEFOND(ルフォン)」というブランドの物件は、もともと長く住んでいただくことを見据えたものでした。
しかし、賃貸、分譲、学生レジデンスなど多様な住まいを提供していくことを考え、2022年から2023年にかけてリブランドすることになりました。
その流れの中で加わったブランドの一つが「LEFOND ETUDE(ルフォンエチュード)」になります。

LEFOND(ルフォン)は、コロナ禍で広まった在宅勤務など多様なニーズに応えつつ、より使いやすい共用部やサードプレイスのある生活など「生き方を、自由にする住まい。」という価値を打ち出しています。
学生レジデンスも、学生がただ住む場所というだけではなく、共用部での学生同士の交流や学びが生まれるような場所にしたいというイメージを持っています。

コロナ禍を境に働き方や生活が変わり、賃貸・分譲とも、室内での過ごし方が多様化しています。テレワークをする方もおられますし、家の中で様々な運動をしたいという方もいらっしゃいます。

SIIさんのご提案ではそうした時代の変化を反映し、くつろげるコーナー、集中して作業するコーナー、みんなで集まって談笑や食事をするコーナーなど共用部での過ごし方のバリエーションも一番多かったです。
弊社が学生レジデンスを手がけるのは今回が初めてでしたが、SIIさんのご提案は学生さんたちが過ごしている空間のイメージが湧きやすかったです。

SII 佐藤:私達もこのブランドのコンセプトに合うことを第一に考えました。そこで、ブランドを自分なりに調べたところ、重要なポイントは「帰りたくなる」ことだと気づきました。
ホッと落ち着ける場所がこちらのブランドにマッチすると思ったので、シンプルだけど普遍的で美しいデザインや、落ち着いた色味などを意識してアイテムを選んでいきました。

サンケイビル 唐川氏:「帰りたくなる」というキーワードは、私達も実際に工事を進めている現場でのモノ決めや空間作りの上で、気を付けているポイントでした。
SIIさんにも同じ認識を持って、ご提案いただけて本当に良かったです。

イメージやアイデアを実現するために

サンケイビル 唐川氏:まず、私達が持っていた「ここはこんな街だからこういう雰囲気があるよね」とか、「こういう学生さんが来そうだから、こういうことができそうだよね」などのイメージをSIIさんと共有し、そのようなイメージを、ご提案の中に取り入れていただきました。

SII 佐藤:サンケイビルさんからいただいたイメージはどれも「観葉植物をたくさん置きたい」「カフェのような雰囲気にしたい」「この学科の学生さんが多いからこういう使い方にしたい」など非常に明確でした。
いただいたイメージを元に、自分が学生だった時のことを思い出しながら、雑誌やwebでたくさんの写真を見たり、実際にカフェに足を運んでイメージをふくらませていきました。

3物件に共通したコンセプトは、「学生同士が会話できること」でしたので、何人でどのように座ったら、どんな会話がしやすくなるだろうとシチュエーションを想像しました。
例えば、あえてテーブルの奥行きを少し浅めにした方が、勉強や食事の際に距離が近くなって話しやすくなります。
また、ビッグテーブルで学生同士が一緒に座る場合、仕切りを立てずにフラットにすれば前の人との会話もしやすくなります。一方で、一人で集中して勉強したい場合もありますし、人と話したくないという気分の日もあるでしょう。そこで、一人で使えるカウンターの検討など、様々な過ごし方ができるようご提案させていただきました。

SII 佐々木:サンケイビルさんからいただいたコンセプトシートは、どれも分かり易くまとめられていました。
その上で、担当の方のそれぞれの思いを直接伺うこともできたので、イメージがとても明確で、具現化する上で大きな助けになりました。

初めてのプロジェクトを楽しむ

サンケイビル 唐川氏:今回、LEFOND ETUDE(ルフォンエチュード)ブランドとしては第一号の物件ですので、まずはブランド第一弾にふさわしいものにしようという思いがありました。
また、カフェテリアが唯一の共用部になる上、カフェテリアは最初に目に入る物件の顔となるような空間です。カフェテリアはそれだけ重要な位置づけにありますので、3物件とも「しっかり作り込んでいこう」と強い意気込みを持っていました。
とはいえ設計の段階では、カフェテリアではなく、ただの広い空間でしかありません。私達も「こういう使い方をしたい」とか、「こういう機能を持たせたい」「外からはこういう見せ方にしたい」など曖昧なイメージしか持っていませんでした。
こうした部分もSIIさんが補完してくださったので、イメージが具体化されましたし、私達も何をどうしたら良いか認識できるようになりました。プロジェクトをスムーズに進める上で、こうしたSIIさんのサポートは大きかったと思います。
弊社が初めて手掛ける学生レジデンスということで、社内でも注目度は高かったです。普段取り組んでいる分譲や賃貸とは異なり、広い食堂空間やカフェテリア空間の開発をするのは初めてでしたが、新鮮で非常に楽しかったですね。

SII 佐々木:私達は普段、分譲マンションや賃貸マンションを手がけています。
学生レジデンスには分譲・賃貸では普段使わない内装材や床材、家具などを、自由に遊び心を持って提案できる楽しさがあると思います。
そうやって楽しみながら提案を出していたので、完成形がとても楽しみでした。
社内の他のデザイナーや他部署にも相談し、連携しながら進めることができました。こうした社内のサポートも、プロジェクトをスムーズに進める上で大きかったと思います。

SIIの提案力や調達力について

サンケイビル 唐川氏:最初に内装については「カフェっぽくしたい」とか「緑を置きたい」「こういう機能が欲しい」などある程度の希望を伝え、SIIさんから提案をいただきました。
しかし、そのあと「カフェテリアの外は大きな幹線道路が走っていて、車や人通りも気になるから、カフェテリア内はもっとこうした方が良いのでは?」と外の環境とのつながりについて考え直して、追加のリクエストをさせていただきました。

ご提案いただいた3つの物件では、建物内外が繋がる見せ方をしたい物件がある一方で、外とは独立させ、繋がりを感じさせない空間としたい物件もあり、ご提案いただいた3つの物件それぞれで異なるリクエストをしていました。
SIIさんは、追加のリクエストも丁寧にまとめてくださっただけでなく、利用者がどう感じるか、どう過ごすかといった観点も踏まえて提案してくださいました。
SIIさんが受け取った言葉そのままを反映するのではなく、様々な観点から妥協することなく、提案をしてくださったおかげで、最終的にカフェテリアが形になりました。

SII 佐々木:弊社はデザイン面だけでなく、予算に合わせた価格やスタイルなど幅広い家具を調達できるというのも強みです。例えば椅子1つにしても、様々なメーカーから調達できます。
また、既製品ではお客さまのご要望にお応えできない場合は、別注サイズや特注での製作も可能です。
こうした強みを生かし、サンケイビルさんに幅広く選んでいただける提案ができました。

SII 佐藤:弊社は展示会やメーカーの勉強会に参加したり、ショールームに足を運んだりして幅広く商品情報を仕入れています。
仕入れた情報は、社内の勉強会で共有しますし、困った時は社内で誰かに聞くことも珍しくありません。

今回もそうした豊富な商品の情報を活かして、多種多様なリクエストにもお応えできたと思います。

ルフォンエチュード国分寺では席数と動線を確保する工夫

サンケイビル 唐川氏:国分寺はスペースが広くないため、詰め込み過ぎないようにするのが大きな課題でした。
共用スペースは学生さんが食事をする場所でもあるので、喫食率から席数を計算していますが、スペースが限られているためどうやって席数を確保するか、という問題がありました。
結果的に人の通るスペースが狭くなりすぎないようにしつつ、快適でゆったりと食事ができ、しかも他の使い方もできるように、SIIさんが上手く工夫してくださいました。

SII 佐藤:当初は600mm角のテーブルを使おうと考えていたのですが、最終的に480mm角にサイズダウンしました。
また、椅子もなるべく軽いデザインにするなど、1センチ単位で調整しています。
こうした微調整を繰り返して、動線を確保しながらなんとかテーブルや席を収めることができました。

サンケイビル 唐川氏:専有部では、寝るときにスマホを充電できるようにコンセント付きのベッドを入れたかったのですが、スペース的にはかなり厳しかったです。
それでも特注ではなく、既製品でサイズの合うものを探していただいたので、予算的な制約もクリアできました。

また、カフェテリアでは、近くに調理師の学校があるので、その学生たちが料理やお菓子作りもできるようにキッチンを中心にした空間を作ることになりました。コンセントの位置や可動式の机、スタッキングできる椅子など様々なリクエストをさせていただきました。
こちらのリクエストに対しても、デザイン性や機能性も兼ね備えたご提案をSIIさんから数多くいただき、そこから引き出されるアイデアもあったので、SIIさんには感謝しています。

SII 佐藤:私達も「食からつながるコミュニケーション」を意識して家具を選びました。
また、国分寺が伝統ある町ということで、昔からあるロングセラーのチェアや信楽焼きの照明を取り入れて、「食と伝統」を表現しています。

ホッとする空間を目指したルフォンエチュード金町

SII 佐藤:金町は大きな道路の近くにあるため、窓ガラスから交通量の多い景色が見えてしまいます。
そこで、外の光を取り入れつつ癒しを感じられる空間になるよう、光を通すロールスクリーンを取り付け、グリーンをたくさん配置しました。
また素材にもこだわり、照明にラタンを使ったり、メンテナンス性を考慮したファブリック張りの椅子を採用したりしました。
このようにちょっとホッとする、居心地の良い空間となることを強く意識しています。

公園とのつながりを意識したルフォンエチュード亀有

SII 佐藤:亀有は金町とは逆に、すぐ外に親水公園があるので、その風景を中に取り込む工夫をしています。
ワイヤーで作られた、蝶々が飛んでいるような軽やかなデザインの照明を採用し、緩やかに視線を外に誘導しつつ、ハイサッシから見える景色を遮らないようにすることで、外とのつながりを感じられるようにしています。
緑の数は金町よりも抑え気味にしています。ただし、外と中が緩やかにつながっていくように、過不足なくバランスを見ながら配置しました。
アイアンとウッドの組み合わせや、ムラのあるラフな表情の張地など、やや無骨な雰囲気のアイテムを取り入れているのも亀有のポイントです。

学生からの評判や社内の反響

サンケイビル 唐川氏:共用部が「カフェみたい」と言ってくださる学生さんが一番多いです。「住みたい」と言ってくださる学生さんも多く、大変好評です。
自宅にカフェのような空間を作るのはなかなか難しいですから、そこが気に入っていただけたのではないかと思っています。
賃料は決して安くないのですが、金額に見合った価値をしっかり提供できて良かったと思っています。
ちなみに今入居されている学生さんの一部は、建物が完成する前から申し込みをされている方々です。
都内からだけでなく、初めて上京する方や一人暮らしをする方も多く申し込まれています。
個人的には、一人にならない空間、人と会える空間があるというのも、入居を決めていただいたポイントの一つになっているのではと想像しています。完成前の写真や雰囲気で決めていただいていますので、実物を見て写真よりもずっといいと思っていただけたら嬉しいです。

また、社内でも「自分が学生だったら住みたい」とか、「社会人向けも作れないの?」などの反響がありました。今回の3物件で経験と実績ができたので、社内的にも、学生レジデンスというアセットを次に繋げていきたいという思いが広がったように感じています。

「自分が学生なら?」という視点での取り組み

サンケイビル 唐川氏:結果的に「自分が学生の時にあったら住んでみたかった」と思える仕上がりになったと思います。
オンラインで繋がることができるとはいえ、ほとんどの時間を自室で過ごさなければならず、食事も一人という状況は退屈になってしまうと思います。
私自身もコロナの期間を経て、しっかりと人と会ってつながることができる大切さを実感し、オープンで多くの人が集まれる場所を提供したいという思いが強くありました。

2024年5月に、入居者の方たちのウェルカムパーティーが開催されました。
パーティーでは学生さんたちが集まり、和気あいあいと楽しそうに談笑し、ゲームで盛り上がっている姿が見られました。住む場所と一体になっている空間だからこそ、会話も弾み、新しい絆が生まれやすくなっていると実感しました。
皆が集まれる居心地の良い空間をSIIさんにご提案いただき、本当に良かったと思います。

SII 佐々木:私達もコロナ禍を経験し、学生さんの気持ちを考えながら自然と人と関われる空間を提案しました。
私の想像ですが、一人になりたい時、学生さんであれば割と自由に一人になれる場所に行けると思いますが、人と関われる、集まれる空間は意外と少ないと思います。
3物件とも色々な大学の学生さんが住むことになるので、普段関わらない方と食事などをできる空間があるというのは、私が学生だとしたら嬉しいですね。
その空間作りに関わらせていただき完成形を見ることができ、やりがいを感じました。

プロジェクト全体を通じた感想

サンケイビル 唐川氏:3物件とも同時並行で時期も重なり、その上でこちらから色々なリクエストも出しているので、SIIさんはかなり大変だったと思います。その中でもSIIさんは、こちらのリクエストをほとんど受け入れてくれました。
他社さんであれば、合う商材がないからできないと断るようなことも、しっかり考えてくださいました。
迅速にレスポンスがいただけたという点も本当に助かりました。

SII 佐々木:サンケイビルさんは、弊社からの質問にすぐご回答をいただけましたし、事務所の距離が比較的近かったので、直接サンプルを持参してその場で決めることもありました。
チームのように一緒に作り上げていこうという、共通認識を持ちながら進められたことが私の中で印象に残っています。

3つの物件を同時に進めるのは難しい仕事でしたが、サンケイビルさんと良い関係を築けていたおかげでプロジェクトをスムーズに進めることができ、とても感謝しています。
トータルで1年間程ご一緒させていただきましたが、楽しい思い出ばかりです。

SII 佐藤:サンケイビルさんからは、「こういう理由なのでこういう風にしてほしい」といった明確なリクエストをよくいただきました。
解決しなければならない課題が明確でしたので、私達も解決案をご提案しやすかったです。
提案に対して、そのまま受け入れてくださることもありましたが、もっとこうしたいと率直な意見をいただけたことがとても良かったと思っています。
チームでプロジェクトを進めさせていただいているような感覚がありました。より良い提案をしたいという思いがあるので、自然とレスポンスも早くなり、もっと良いものがないかと色々探すのも楽しみながら取り組めました。
仕事にやりがいを感じましたし、住みたいと言っていただけて本当に嬉しかったです。ぜひまたサンケイビルさんと一緒にお仕事できれば嬉しいです。

サンケイビル 唐川氏:今回、弊社としても初めての学生レジデンスでしたので、当然ながら開発経験や実績もありませんでした。

その中でSIIさんは提案や調達だけでなく、現場との調整も行ってくださいました。また、「こんな図面があると、詳細な検討ができるのでご用意いただけますか。」などと、我々が把握しきれていない部分をサポートしてくださり、とても助かりました。

右も左も分からない中でのスタートでしたが、設計の段階からサポートしていただきながら完成させることができました。SIIさんには本当に感謝しています。今後ともよろしくお願いします。

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