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2024/09/13

Andreu World 東京ショールーム リニューアル インタビュー

左から順に
住商インテリアインターナショナル株式会社
代表取締役社長:久野直毅

Andreu World
Managing Director:Ignacio Barber(イグナシオ バルベール)氏

Andreu World
Brand & Sales Representative:野本玲央 氏

住商インテリアインターナショナル株式会社
ファニチャー開発部 部長:山口徹

リニューアルしたショールーム

AWイグナシオ氏:東京・青山のこの地にショールームがオープンしたのが2016年ですから、そこから7年が経過し、デザインなどをリニューアルすることになりました。
そこで、著名なデザイナーであるパトリシア・ウルキオラ氏にデザインを依頼し、2024年新たにフラッグシップスペースとしてリニューアルしました。Andreu Worldは70年前に設立された会社ですが、家具メーカーとしてすべての取扱製品で初めてFSC(森林管理協議会)認証を受けており、以来FSC認証材の使用にこだわっています。
今回のリニューアルでも、サステナブルとは何かを体現できるよう、デザイナーとも相談して決めました。
このショールームのコンセプトは「Spatial」です。コンパクトな空間の中で執務スペースと展示スペースを作りました。

天井や壁、パーテーション等も木材を多く使用していますが、全てFSC認証を受けた材料を使用しています。
動線を意識し、以前よりも広く見えるようパーテーションを活用したデザインにしています。また、窓際のベンチもディスプレイとして採用しています。ショールームのスペースを広く見せるために、天井も明るい色を採用し、照明も特別な色で作ってもらいました。

AW野本氏:以前はエントランスのドアを開けたらただ一つの大きなスペースとなっていたのですが、今回リニューアルで木の仕切りを設置して3つの展示スペースと2つのオフィススペースを設けているところがショールームの使い方として一番大きく変わったところです。

SII久野:弊社はAndreu Worldさんとは、日本法人やショールームができる前からお付き合いをさせていただいております。今回は家具だけではなく、内装にも非常にこだわった「Andreu Worldさんのコンセプトがよく伝わるショールーム」になっていると思います。

同じ場所で新しい空間に生まれ変わる

AWイグナシオ氏:今回のリニューアルでは、まずショールーム自体の場所をどこにするかということについて考える必要がありました。
この青山ショールームより広い場所へ移転するか悩みましたが、ここは窓が大きく店内もとても明るいですし、立地も駅から近く、お客様にも便利だということで、同じ場所でリニューアルすることに決めました。

それほど広くないスペースでAndreu Worldのコンセプトを表現し、他のAndreu Worldショールームと同じような雰囲気を作る必要があったことはチャレンジでしたね。
また、特別な照明を採用し、室内の色を明るくすることで外とのコントラストを付け、広く見せる工夫をしました。結果として、天井の高さやスペースの広さも気にならず、ミラノのショールームや最近オープンしたロンドンのショールームと同じような雰囲気を出すことが出来ました。

理想的なショールーム

SII山口:設計事務所やクライアントからのご相談を受けた際に、Andreu Worldさんの商品をご提案させていただくのですが、その後、商品を見たい、商品を体験したいというお話になった際に、この青山ショールームへご案内しています。
家具は全体のインテリアや、建築の中の一部のパーツです。そのため、Andreu Worldさんのコンセプトが表現されているこのショールームで見ていただくのが、商品の良さをお伝えするには一番良いと思っています。

AWイグナシオ氏:このショールームは、Andreu Worldのイメージやデザインを表現しているので、SIIさん経由でクライアントや設計事務所の方に見ていただける事はとてもありがたいです。

SII久野:新しいショールームは、見てすぐにコンセプトがわかりました。
Andreu Worldさんの考え方がわかるショールームになっているため、お客様にも伝えやすく、我々としても非常にありがたいですね。

AW野本氏:このリニューアルが、Andreu Worldショールームへご案内いただく一つのきっかけになればと思っていますので、ぜひご活用いただけると幸いです。

SDGsを全面に取り入れたショールーム

AWイグナシオ氏:床にはリサイクルストーンが使用されていますが、汚染物質が完全に除去されたコンパクトストーン(石粉)を固めて作られたブロックで、リサイクルもできる素材です。
他の物質も混ぜているのですが、化学物質は使っておらず、全て自然由来のものを使い、環境に悪い影響がないようにしています。椅子を陳列しているラックの壁にはリサイクルポリプロピレンが使用されています。
弊社では、ポリプロピレンはサステナビリティを考えて、100%リサイクル可能なものを使用しています。
弊社はSDGsに関しては業界のパイオニアであると自覚しています。積極的に使用しているバイオポリプロピレンは、バイオマスからできるポリプロピレンで、石油などは使っておらず、環境に大変優しい素材となっています。現在、バイオポリプロピレンは、Bolete Lounge Bio(ボレーテ ラウンジ バイオ)に使用しています。

パトリシア・ウルキオラ氏との協業

AWイグナシオ氏:トップデザイナーのウルキオラ氏ともお話させていただいた事なのですが、デザイナーと協業する際に、Andreu Worldが一番大事にしている事は、「人と人との関係、そしてデザイナーとAndreu Worldが同じ価値観を持っているか」です。

Andreu Worldはサステナブルを重要視している会社です。現在はFSC認証だけではなく、カーボン・ニュートラル認証やCradle to Cradleなど、様々な認証を受けています。そういった弊社の価値観がウルキオラ氏とは同じでした。ウルキオラ氏と初めて協業したのは、「木」の商品でしたが、その後も良い関係を継続できていると思います。

先ほど述べたBolete(ボレーテ)もウルキオラ氏のデザインによるものですが、今年も新製品として同じシリーズのBolete Chair(ボレーテ チェア)を発表しています。そのように環境に対し同じ価値観を持つウルキオラ氏に、商品だけでなく、今回のショールームリニューアルもお願いすることにしました。

ショールームのオープンの際には、ウルキオラ氏にも来日していただきました。ウルキオラ氏はトップデザイナーでありながら、とてもフレンドリーで、来場者のみなさんと写真を撮ったり、お話をされたりして、会場はとても温かな雰囲気でしたね。

Andreu Worldの未来への展望

AWイグナシオ氏:このショールームは代理店の方や、設計事務所の方に来ていただいた際に、商品の魅力を最大限に引き出せるようこだわりのある張地や仕上げを取り揃え、環境を整えています。
また、社員にとっても居心地が良く、働きやすい環境作りは何か?についても考えました。そして、会社の持っている考えと同じ考えを社内外にも広めていきたいと思っています。

SII久野:私達代理店の立場からすると、Andreu Worldさんの商品をお客様に提案する過程で、このショールームで実際に見てもらうと、使用するシーンが想像しやすいですよね。
周りの内装とも合った見せ方ができるので、お客様も使用場面をイメージして商品を見られると思います。
商品が採用されやすくなるという点でも、こういった素晴らしいショールームをオープンいただいた事は非常にありがたく思っています。

2023年のオルガテック東京への出展

SII久野:2023年のオルガテック東京(ドイツ発・アジア最大規模のオフィス家具見本市)には、Andreu Worldさんと一緒に出展させていただきました。
商品の展示会ですが、商品を見せるというより、商品のコンセプトである「いかに環境に配慮したものであるか」ということに集中して展示を行いました。その結果、ブースのコンセプトやデザイン性などの観点で審査を行う「ベストプレゼンテーションAWARD」で準グランプリを受賞しています。
SIIとしても、よりAndreu Worldさんとの関係を近づける事が出来たと思いますので、そういった意味でも良かったなと思っています。

AWイグナシオ氏:サステナビリティのコンセプトとして、SIIさんからも意見を出していただきました。ちょうどそのとき私たちは循環型経済を実現するための、廃棄物を出さないことを目標としたサーキュラーデザインチャレンジに取り組んでおりました。
世界の環境を良くするための物を作りましょうという、その時のオルガテックのコンセプトに合った商品であるバイオサーモポリマーやFSC認証材を使用した椅子を展示しました。
SIIさんとは企業理念が近いため、今後も良いお付き合いをしていけると思っています。

2024年も Best of NeoCon の常連

AWイグナシオ氏:世界最大規模のオフィス家具見本市であるNeoCon(ネオコン)では、今年も9つの賞を受賞しました。
Andreu Worldが毎年多くの新作を出している活動的な会社である点が受賞に関係していると思います。
例えば昨年は、20の新しいコレクションを発表しました。家具業界の中で、ここまでアクティブな会社は少ないと思います。

サステナビリティ部門では、今年は2つ、Bolete Chair(ボレーテ チェア)Bolete Conference Table(ボレーテ カンファレンス テーブル)が受賞しました。無駄が無いようデザインされており、接着剤やネジは使用しておらず、素材もすべてリサイクル素材を使用しています。
そういった点が毎年いろいろな賞をいただいている理由なのかなと思っています。

昨年は、Bolete Lounge Bio(ボレーテ ラウンジ バイオ)Bolete Occasional Table(ボレーテ オケーショナル テーブル)を新作として発表しました。お客様の声も聞きながら、今年は新作のコレクションとして、Bolete Chair(ボレーテ チェア)を発表しています。
試作モデルを見たお客様から、「素敵なデザインですね!」とコメントもいただきました。その中でも一番多くコメントをいただいているのがBolete Chair(ボレーテ チェア)と、ドルドーニ氏がデザインしたAxial(アクシアル)なのですが、Axial(アクシアル)はモジュラーソファ部門とベンチ部門で2つの賞を受賞しました。
そのほか、新しい屋外のコレクションではBrezal(ブレザル)という商品が受賞しています。見た目はアルミのような素材なのですが、実際はリサイクルポリプロピレンから作っています。そちらもお客様から反響をもらっています。

SII山口:NeoConは、アメリカで開催されるインテリア商材の展示会のため、アメリカメーカーの受賞が圧倒的に多くなります。そんな中で、スペインのメーカーであるAndreu Worldさんが9部門も受賞したのは、率直にすごいなと思っています。
パトリシア・ウルキオラやフィリップ・スタルク、今年はロドルフォ・ドルドーニなど有名デザイナーのデザイン性はもちろん、サステナビリティの点がアメリカの市場にも共感されていると思います。

価値観を共有する強力なパートナーシップ

AWイグナシオ氏:私達の考え方や仕事のやり方としてもちろんいいモノを作ることが仕事ですが、会社として真摯でいなければ、いくら良いものを出しても商品を紹介することはできません。
会社同士の関係として、価値観が同じでないと長い関係は続かないと思います。考え方やチャレンジ、相手とのコミュニケーションなど大事にしているものが同じだからからこそ、SIIさんとは20年という長い関係が続いているのだと思っています。

AW野本氏:商品が届くとSIIさんと一緒に倉庫に入るのですが、営業の目線からすると、結構厳しい目で検品をされていると感じています。
そういった仕事がお客様や、設計事務所様からの信頼に繋がっているのではないかなと思います。
非常にプロ意識の高い会社さんだなと感じており、それに伴って弊社も頑張らなければいけないなと刺激をもらっています。

日本法人のAndreu Worldは社員が4人と非常に小さい会社ですが、SIIさんは昨年のオルガテックや今回のインタビュー記事などでAndreu Worldの知名度を広めようという熱意のある、強力なパートナーさんだと思っています。

SII久野:大事なお客様に対して商品をご紹介している以上、お客様の信頼を裏切るわけにはいかないと思っています。
商品に問題があったとき、商社は「メーカーさんが作ったものですから、自分たちの責任ではありません」と言うところも多いようです。
しかし、お客様からすれば「それは住商インテリアインターナショナルが推薦したもの、提案したものでしょう?」という気持ちになりますよね。
私たちは商品の品質についても責任を持ってご提案したいと思っているので、会社としての目線合わせは大事にしたいなと思います。そういった事も踏まえてAndreu Worldさんは、自信を持って推薦できる家具メーカーさんですね。

SII山口:昨年のオルガテックの参加などによって、当社へのAndreu Worldさんに関する問い合わせは増えています。例えば営業活動でのご提案の機会や、我々が行っているウェブサイトでの問い合わせなど、今までコネクションがなかったところからたくさんの問い合わせをいただいています。それを今年から、実績に結び付けていきたいなと思っています。今後ともよろしくお願いします。