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- インタビュー
2024/07/09
株式会社レゾナック・ホールディングス オフィス統合移転プロジェクトインタビュー
東京汐留ビルディングオフィス統合移転プロジェクトにて、協業させていただいた
株式会社レゾナック・ホールディングス (以下 レゾナック) の皆様にインタビューさせていただきました。
<参加者紹介>
左:レゾナック・ホールディングス :千布正英氏
左から2番目:レゾナック・ホールディングス :山本一郎氏
中央上部:レゾナック・ホールディングス :倉持好章氏
中央下部:レゾナック・ホールディングス :山﨑 宏之氏
右から2番目上部:レゾナック・ホールディングス :立原栄二氏
右下部:住商インテリアインターナショナル:川崎昭子
右:住商インテリアインターナショナル:遠藤龍之介
統合移転の背景「場所も組織も1つに」
レゾナック 千布氏:
当社は2023年1月1日、昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合した会社で、今年で2年目を迎えます。
今回のオフィスの統合移転には、2つの旧本社を物理的にだけでなく、組織も一つに統合する目的がありました。そのため、私たち総務部としては「共創に貢献する場を整備する」ということも重要な目標となりました。
2022年5月のゴールデンウィーク明けから条件に合う場所を探し始め、同年8月に統合移転先が「東京汐留ビルディング」に決まりました。
レゾナック 山﨑氏:
物件を探し始めた2022年5月の時点で、2023年の6月末までに移転完了と決まっていましたので、プロジェクト期間は1年しかありませんでした。新しいオフィスをどのように作り上げるかについて多種多様な意見が出ました。それらをPMの三機工業さんと住商インテリアインターナショナル(以下SII)さんが形にし、「これどうですか?」と提案していただくということを何度も繰り返しました。
このサイクルがとてもスムーズに回ったことも、短期間でプロジェクトが完了した一つの要因だと思います。
様々な意見に対して、すぐに的確なご意見をいただけたので本当に助かりました。
SIIが協業した経緯
SII 川崎:
私たちが参加したのは、プロジェクトの途中からになります。三機工業さんがコンセプト決めの段階から参加していらっしゃって、どれだけのフロアを借りるかなど、細かな計画をすでに進めていました。ある程度計画が進んだ段階で、三機工業さんから依頼をいただき、デザインやオフィスエリアのレイアウトに関わらせていただきました。
レゾナックさんと当社が直接コミュニケーションをとるようになったのは、プロジェクトの後半からになります。特に工事が始まってからはレゾナックさん、三機工業さん、当社の3社で密にコミュニケーションを取るようになりました。
なぜ「出社したくなるオフィス」というコンセプトになったのか?
レゾナック山﨑氏:
コロナ渦をきっかけにリモートワークの普及など、働き方が大きく変化しました。当社も出社率がかなり低下しましたが、当時の経営トップには「直接顔を合わせる方がビジネスチャンスにつながる。新型コロナが落ち着いたら、リモートワークを継続するのではなく、なるべく出社してほしい」という意向がありました。
そのため、統合し新しい会社となるこの機会に新しいオフィスを作ってみようという話になりました。
特に若い人の意見を取り入れるようにと要望があり、社内の様々な部署から若手メンバーに来ていただきヒアリングしました。その上で、三機工業さんにも全体のマネジメントをしていただきながら生まれたのが「出社したくなるオフィス」というコンセプトになります。
私たちはこのコンセプトをさらに突き詰め「居心地が良い」、「会社に来て仕事がしやすい」、「集まりやすい」といったイメージで「COCOCHI」というテーマを作り上げました。
単に机があって、そこにパソコンを置いて作業するだけでなく、色々なエリアやロケーションを用意し「自分の働き方に合った場所を選べるオフィス」を目指しています。
プロジェクトの期間は限られていましたが、ヒアリングからテーマを決めるまでかなり時間をかけました。
結果として、出社率はそこまで大きく増えたわけではありません。
しかし、以前のオフィスよりも出社しやすくなったと感じています。移転前のオフィスは違う部署にいる人たちの顔があまり見えなかったのですが、今回の統合移転でこの問題がかなり解消されたからです。
今も言葉では「旧昭和電工」とか、「旧日立化成」と言うこともあります。ただ移転前からそういった「どこそこの出身」といった意識や印象は少なくなってきていました。
ここに移転してからは、さらによく顔が見えるようになったことで、より「絆」感も強まったと思います。
若手の「自由な発想」を積極採用
レゾナック 山﨑氏:
社内の若い人たちに、理想のオフィスについてヒアリングしたところ、私たちの世代が考えるオフィス像と、若い人たちの理想像はだいぶ異なるということが分かりました。
若い人たちは、新しい情報に敏感だからでしょうか。
こたつや畳の場所が欲しいなど本当に自由な発想で、色々な意見が出てきて大変驚きました。
また、イメージを具現化するための参考として、2ヶ所ほど他の会社を見学しそこで良いと思った点も取り入れています。
レゾナック 立原氏:
最初は中堅メンバーを集めて、どんなスペースを作るかとか、どんな色を使うかなどのアイディアをまとめていました。
ところが若い人たちの意見を聞いてみると、斜めの空間や気楽な空間など、私たちの考える壁やパーテーションで縦横に区切るといった従来の考えとは違った意見がでてきたのです。
こうした意見を一つにまとめるのは大変でしたが、ある種の刺激や化学変化のようなものが生まれ、より良いものができたと思います。
SII 川崎:
三機さんによるヒアリングを通し、若手メンバーから配列に遊びを持たせたいという希望があり、さらにゾーンによってデスクの色を変えるなど、動きと遊びのある様々なバリエーションのある空間にしたいというリクエストがありました。想定していた昭和電工様という企業のイメージとかけ離れ、どこまでチャレンジできるのか、求めているイメージがなかなかつかめず、迷いながらレイアウトを考えていました。
多様な働き方ができる環境を追求
レゾナック 倉持氏:
仕事の取り組み方は、日によって様々です。
じっくり腰を据えて仕事する日もあれば、そうでもない時もありますよね。
そこで、その時の取り組み方に合わせて仕事の場所を選べるフリーアドレス制を導入しております。
また、同じ什器をあちこちに点在させるのではなく、なにをどこに配置するかまでしっかり決めました。創造性やイノベーションを重視したエリアには、長時間座っていても腰が痛くならないイスを、価格も含めて提案していただき導入しました。
一方で、一般的なスタイルのオフィスも大事だよねという意見もありましたので、以前のオフィスで使用していた什器類を配置したエリアも設けています。
SII 遠藤:
什器については、最初に健康に配慮したシステムチェアや昇降デスクなどのご要望をいただきましたので、座面が揺れてバランスボールに座っているような感覚の椅子などをいくつかご提案いたしました。
ほかにも、「動かしやすく、組み立てやすいキャスター付きのテーブルはないですか?」といったご要望もありました。
その際、当社で現物を見ていただくなど、什器はかなり時間をかけて決定しましたね。
SII 川崎:
現代のフリーアドレスやABW(Activity-Based Working:働く場所を自由に選択する働き方)のトレンドを取り入れながら、その最先端のスタイルを三機工業さんと一緒にご提案し、コストも含め働き方に即した環境をご提供できました。
SII遠藤:
一般的なオフィスにならないよう、「緑のエリアが欲しい」「集中するスペースも必要」「カフェテリアも欲しいですね」など、私たちもアイデアを出し合いながら進めました。
色彩も、そのエリアに応じたものになるよう配慮しました。集中するエリアは少し暗めにして、落ち着いた雰囲気にする一方、執務エリアは多彩な色を交えて華やかにし、気軽に座って話ができるようにしています。
カフェテリアはオープンな感じにし、お客様に飲み物を提供しながら、のんびりとした雰囲気でコミュニケーションを取れるよう軽めの色にしています。
卓球台がなぜオフィスに?
SII 川崎:
家具や椅子は、各エリアにマッチした商品をこちらからご提案し、その中からお選びいただいています。
一方で、家具を置かない計画だったエリアに卓球台を置くことにしました。
これが不思議なくらい空間にマッチしましたね。
SII遠藤:
過去に、他の案件で卓球台を納品したこともありましたので、社内のリフレッシュエリアにそういったものも置けますよとご提案しました。
レゾナック 山﨑氏:
「ここ何だか寂しいよね」という話をしたら、SIIさんから卓球台を提案していただき「それ良いね!」と採用しました。社員たちのリフレッシュにもなるようで、みなさんよく卓球をされています。それにオフィスに訪問された方とも、「なんでここに卓球台が?」と新たな会話のきっかけになるので、設置して良かったと思います。
SIIの果たした役割
レゾナック 山本氏:
SIIさんは、私たちが考えていることを的確に捉え、それを具体的な提案として提示してくださいました。そこがとても良かったです。社内にはオフィス移転の経験が全くない者もいました。経験のない人間からすると、なにをどこに置いたら良いかなどほとんど分かりません。
そうした基本的な部分も、少し冗談を交えながら、丁寧に答えていただいたので大変ありがたかったです。
またSIIさんは私たちの要望に対し、決め付ける感じでポンと商品を提示するのではなく、様々な選択肢を提案してくださいました。例えば、什器一つにしても国内メーカーだけでなく、海外メーカーも紹介してくださいました。どれにしたら良いかなかなか決められないくらい、たくさんの選択肢を用意してくださり、選ぶ楽しみがありました。
このように、楽しみながら取り組めたというのが、SIIさんにお願いして良かったと思う点です。また、話合いの中でもともとの考えやコンセプトから外れないよう、軌道修正していただけたことも良かったですね。
レゾナック 倉持氏:
プロジェクトが進行していくにつれ、コンセプトとは違う方向に進みそうになることがよくありました。
例えば、良いアイディアが出てこないと、「別にこっちでも良いか」と妥協したくなります。そのような時に、SIIさんが「もともとのコンセプトはこうですから」と引き戻してくださることがありました。
また、私たちが「こっちの方が良いな」と思って左に進んでしまうと、「そっちじゃなくてもっと右ですよ」と方向を正してくださることもありましたね。
こうした点も、SIIさんと組んで良かったと思う点です。
SII川崎:難しいプロジェクトでしたが、全てが楽しい思い出です。とても楽しくお仕事できました。
来訪者や社内の反響
レゾナック 山﨑氏:
新オフィスには既に多くの方に来ていただいていますが、みなさん一様に驚かれます。エレベーターを降りて一歩入ると、海が一面に広がる見晴らしの良い景色が目に入ってくるので、「すごいですね」と言われる方が多いです。
また、家具もいいものを選定していただいたおかげで非常に好評で、
「素敵なオフィスですね」という感想をよくいただきます。
社内からは当初、これまでとは全く違うレイアウトに当初戸惑う声が少しありましたが、オフィスそのものや什器類についての不満はほぼありません。
また、本社以外の各事業所でも話題になっているようです。
いわゆる「工場の事務所」ではなく、社員同士の交流やリフレッシュするスペースも含めた「オフィス」の必要性を感じている事業所もあるようで、実際、本社にも問い合わせがありました。社内にそういう前向きな影響を与えたという点でも、今回のプロジェクトは意味があったと思います。
今回の移転で、本社だけでなく各事業所のお客さんも含め、誰でも本社に来られるような環境を作ることができました。ビジネスチャンスを広げるためにも、本社に人をどんどんお招きして、積極的に活用してもらいたいと思っています。
常にアップデートを続けるオフィスを目指して
レゾナック 山﨑氏:
工事が終わったという意味では、オフィスは「完成」しました。でも、全く「完成形」とは考えていません。今後も組織や人員が変わるにつれて、さまざまな要望が出てくると思います。そのため、コンセプトを作ったときから、社内では「あくまでもベースであって完成形ではない」、「働き方に合うようにオフィスも変えていく」という共通認識を持っています。
ですから、今後もアップデートを繰り返して、少しずつ変えていく予定です。場合によっては、大きく作り変えることもあるでしょう。
レゾナック 千布氏:
以前、昭和電工が入っていたビルは細長く、フロアも縦に伸びていましたし、丸の内のオフィスもワンフロアを大量に分割して使っていました。その様にバラバラだったオフィスが、一続きのフロアに集約され、今まであまり顔を合わさなかった人とも交流できるオフィスになりました。
昨年末には、社内で2時間ほどイベントを行うことができました。出社している従業員たちが約300人集まり、社長を含む役員もみな参加しました。拡声器で話さないといけないくらいギュウギュウでしたが、このオフィスだからこそ、それだけの人数が集まれたと感じます。
先ほど、まだまだこのオフィスはアップデートしていくというお話もありました。確かに、「ハード」の部分は一段落つきましたが、こういったイベントを含めた「ソフト」の部分は今後の課題かと思います。
今後もアンケートなどをとり、さらにオフィスに来やすくなるように改善するつもりです。またオフィスに来たくなるようなイベントを開催するなどして、1年ごとに着実にオフィス環境をアップデートできたら良いなと思います。
今回の移転で環境が大きく変化したので、今までのやり方や慣習もリセットされ、改めて組み立て直さなければいけない部分もあるでしょう。そういった運用面の変更も含め、これからも大きな変化が必要になるかと思います。そのような意味でも、まだまだ「完成」はしていません。
SII川崎:今後もご相談や、アイディアが必要な場合はいつでもまたお声がけいただければありがたいです。
レゾナック 千布氏:今後ともよろしくお願いします。
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