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2025/12/03
一片の端布から始まった奇跡 ― 小倉織、復元から新たな時代へ
株式会社 小倉縞縞(かぶしきがいしゃ こくらしましま)について

株式会社 小倉縞縞は、江戸時代に生まれた伝統織物「小倉織(こくらおり)」の縞の美しさを継承しながら革新的なデザインを発信するテキスタイルブランドです。北九州を拠点に、現代の感性に響くモダンなプロダクトの創出や、企業・団体とのコラボレーション、オリジナルグッズ制作など幅広い展開を行っています。唯一無二の美しさを誇る製品は、海外では 「KOKURA STRIPES」 と称され、日本の伝統産業を代表するブランドとしてその魅力を世界へ届けています。
武士に愛された織物、小倉織の歩み

小倉織は、約400年前の江戸時代初期に豊前小倉藩(現在の福岡県北九州市)で生まれた伝統的な木綿織物。
特長は経糸の密度が非常に高いことで、通常の織物が経糸と緯糸を1対1で組むのに対し、小倉織は経糸が緯糸の2倍以上の密度で織られます。
この構造により、地厚で耐久性に優れ、立体感のある縞模様と丈夫でしなやかな質感が生まれます。
かつては、武士の袴や帯に珍重され、「槍をも通さぬ小倉織」という逸話まで残っています。
やがて男子学生の制服に採用され、全国にも普及。文学作品にも登場するなど、当時の生活文化に深く根付いていました。
ところが、時代の変化や産業構造の転換などにより、伝統産業としての小倉織は一時姿を消してしまいます。
途絶えた伝統、小倉織の再生ストーリー

1983年、染織家・築城則子(ついき のりこ)氏は骨董品店で幕末の子どもの袴の端布に出合い、その美しさに心を奪われました。
濃紺と白、藍を基調とした粋な配色、しなやかな質感、木綿でありながら絹のような艶――それこそが、忘れられていた北九州の伝統織物「小倉織」でした。
築城氏は研究を重ね、糸の太さや密度を試行錯誤し、理想の質感を追求。1984年、ついに小倉織の復元に成功し、長らく失われていた北九州の伝統文化は息を吹き返しました。
機械織りによる小倉織が持つ無限の可能性

小倉織の最大の魅力である立体的で繊細なたて縞のデザイン。先染めの細い糸を重ねて生み出されるグラデーションは、一般的なストライプとは異なる奥行きと豊かな表情を持ち、無限のバリエーションを生み出します。
再生された小倉織は、伝統の美しさを守りながら、現代のニーズに応える進化を遂げています。
機械織りならではの広幅のテキスタイル生産を実現し、空港やホテル、レストラン、公共施設など、さまざまな空間を彩る素材として活躍。

さらに、アートパネルやオブジェなど、コンセプトに合わせた作品制作にも対応しています。
このように、小倉織の縞模様は、新しい領域へと広がり、さらなる可能性を切り拓いています。
江戸時代から現代へ、小倉織が進化するサステナブルデザイン

小倉織の美しく丈夫なテキスタイルは、経年変化を楽しみながら長く愛用され、その存在自体がサステナブルなものづくりの象徴です。
この文化を未来へつなぐため、小倉縞縞は、現代のライフスタイルに調和するデザインと、環境に配慮した素材を融合させ、世界へ発信し続けています。その代表的な製品が「縞縞 EARTH」シリーズ。経糸には伝統の木綿を、緯糸には回収衣料や漂着ペットボトルを原料とした再生糸を採用し、地球環境保全と循環型社会の実現に貢献しています。
小倉織 略年表
| 時代 | 軌跡 |
| 16世紀以降 | 日本各地で綿花栽培が進み、綿布が普及開始 |
| 江戸時代初期 | 豊前小倉藩で武家の婦女子が木綿糸で織物づくりを開始。小倉に織物文化が定着 |
| 江戸時代中期 | 経糸密度が緯糸の約2倍以上の丈夫な小倉織は、「槍をも通さぬ小倉織」と称され、武士の袴や帯に珍重 |
| 江戸時代後期 | 庶民の衣類にも広く普及 |
| 明治期 | 黒糸と白糸を撚った杢糸による「霜降小倉」が誕生。男子学生の夏制服に採用され全国に広まる |
| 昭和初期 | 小倉織産業が一度途絶 |
| 1980年代 | 染織家 築城則子氏 、小倉織の端布に出合う。同氏による研究と試行錯誤の結果、復元・再生に成功 |
| 現代 | 小倉縞縞が、福岡県の特産工芸品として小倉織をブランド化。機械織りを取り入れ、ファッション・インテリア・建築など幅広い分野で活用。海外の展示会にも出展し、「KOKURA STRIPES」として高い評価を得る |
400年の時を超えて受け継がれてきた小倉織。一度は途絶えたその歩みが、今、未来へと続いています。「もう二度と小倉織の時間を止めてはならない」という言葉には、文化を守り続ける人々の情熱と決意が込められています。
本記事の制作にあたり、ご協力いただきました株式会社 小倉縞縞様に心よりお礼申し上げます。
小倉織の美しさを取り入れたインテリアデザインをご検討の際は、CONTACTよりお気軽にご相談ください。