STORIES
ストーリーズ
- ファニチャー
- ブランド・メーカー紹介
- 展示会
- レポート
2025/09/05
ミラノデザインウィーク2025 現地視察レポート 当社取扱いブランドをご紹介

未来の空間を創造する、デザインの祭典
2025年4月8日~13日に、イタリアのミラノで世界最大規模の「ミラノサローネ国際家具見本市」が開催されました。今年で63回目を迎えたこの展示会には、イタリアを含む38か国から約2,100社が出展、約30万人の来場者が訪れ、海外からの来場者が68%と過去最高を記録しました。今年はフィエラ会場※1以外の市内展示も更に増え街全体がデザインのインスピレーションに溢れる1週間でした。
※1フィエラ会場とは、ミラノサローネイベントの主要会場を指す。ミラノ市内各所で行われる展示・イベントの総称は、「フォーリ・サローネ(Fuori Salone)」と呼ばれる。
当社取扱いブランドの商品紹介
住商インテリアインターナショナル(SII)が取り扱うブランドの中から、今回のミラノ・サローネ デザインウィークにおける動向と新作をご紹介します。
Tacchini(タッキーニ)- イタリア
Tacchiniは、Fiera会場および市内ショールームで展示を行いました。Fiera会場の空間デザインはMatteo Fiorini(Studio LYS)が手がけ、スタイリングはCharlotte de La Grandièreが担当。「静けさと調和」をテーマにした空間は、ボリュームのある彫刻的なフォルム、柔らかな照明、そして触感豊かな素材によって構成され、実際に人が暮らす現代的な住まいの雰囲気を想起させるものでした。
Tacchiniは、過去の名作家具の復刻から、現代の新しいデザインまで、幅広いプロダクトを展開しています。
なかでも今回の展示では、Tobia Scarpa(トビア・スカルパ)のアトリエを再現した展示や、Faye Toogood(フェイ・トゥーグッド)の独創性あふれる新作が、ひときわ来場者の関心を集めていました。
1975年にAfra & Tobia Scarpa(アフラ&トビア・スカルパ)によってデザインされた椅子「Africa」の復刻版は、キャビネット職人による伝統的な技術と、木材という素材のデザイン価値を再評価する、時代を超えたプロジェクトです。






Fay Toogoodの発想から、やわらかいバターのような心地よい触感の椅子を作りたいという思いが生まれ、モジュール式の「Butter」ソファが誕生しました。「日々の暮らしの中の小さなことにこそ美しさがある」というToogoodの言葉を体現した商品です。

Center:Isola Bella/ Studiopepe
Right:Tako Low Table / Cini Boeri

Center:Gian & Pan/ Studiopepe
Front:Le Mura/ Mario Bellini
Tacchiniの作品は、大理石の豊富な色柄バリエーションに加え、異素材の組み合わせが秀逸で、ブランドならではの美意識が随所に感じられました。
ラインアップはどれも個性的なデザインながら上品さも兼ね備えており、ホスピタリティ空間に上質な雰囲気を演出するのに大変おすすめです。
POTOCCO(ポトッコ)- イタリア
ホスピタリティエリアを得意とし、100年以上の歴史を持つイタリアブランド、Potocco。今年のミラノ・サローネでは、「形の旅」をテーマに、コンセプトとして「Flowing Through Shapes(形に宿る流動性)」を掲げた展示を行いました。ブースデザインはロレンツォ・ビニ率いるStudio Binocleが、アートディレクションはキアラ・アンドレアッティが担当。直線的な幾何学、対照的な素材感、鮮やかな色彩を巧みに組み合わせ、屋内と屋外を行き来するような空間構成を通じて、Potoccoの鮮やかで洗練されたブランドアイデンティティが際立っていました。
開いた本のページから着想を得た新作「Pages」ブックシェルフは、めくれた紙の緩やかなカーブを思わせる、しなやかで非対称なラインの無垢材の支柱が特徴です。その精緻でありながらダイナミックな構造は、柔らかな形状と幾何学的なフォルムを美しく調和させる、Potoccoの卓越した技術力を反映しています。
天板には、木またはブロンズ色のミラーガラスのバリエーションがあり、素材によって印象が異なります。


チェアでは、長年愛され続けている「Velis」シリーズに、新たなバリエーションが加わりました。今回のモデルでは、背面の籐編みデザインが新しくなり、座面の幅も広がったことで、よりゆったりとした座り心地を実現しています。そのため、ラウンジなどのくつろぎ空間でも快適にご使用いただけるようになりました。空間を選ばず、多様な用途に対応できる汎用性の高さは、「Velis」シリーズならではの魅力だと感じました。

多彩なバリエーションを持つ「Velis」チェアの最新モデル

また、さまざまなデザインのバースツールが並び、高さの異なるタイプも展開されていたため、シーンに応じた選択の幅広さが感じられました。

E Claire Console/ Ferriani.Sbolgi

近年はアウトドア家具の開発にも注力しています。

Center:Syn/ Mario Ferrarini
Front left:Jade/ Hanne Willmann
Front right:Double L Glaze/ Chiara Andreatti

Sophie Table/ Chiara Andreatti
Billiani(ビリアーニ)- イタリア
1911年の創業以来、Billianiは現代的なデザインと伝統的な職人技を融合させ、木製チェアを通じてブランドの歴史を世界に発信し続けています。

「Stack」サイドテーブルは、色とりどりの吹きガラスで作られたテーブルコレクションです。デザインはNiccolò Devetag(ニッコロ・デヴェタグ)によるもので、ガラスが持つ独自の特性──伝統的な価値と現代性の融合、光との相互作用によって空間に鮮やかな色彩の反射を生み出すこと、そして耐久性と無限のリサイクル性──に着想を得ています。モジュール式の構造により、異なる色のパーツを積み重ねることで、さまざまな高さのテーブルを自由に組み立てることができます。職人技と現代的なフォルムの融合によって、「Stack」はBillianiの哲学を見事に表現しています。


Billianiが最も得意とするチェアは、有名レストランなどへの納入実績を持ち、従来から堅実なものづくりに定評があります。今回の展示では、デザインや素材、用途に工夫を凝らした新たなアプローチが見られ、ブランドとしてのさらなる挑戦への意欲が感じられました。今後の展開にも大きな期待が高まります。


La Cividina(ラ・チヴィディーナ)- イタリア
La Cividinaのブースでは、ユニークなデザインのアイテムが目を引いていました。
薄いクッションが何層も重なったモジュールソファや、背もたれとプフを自由に組み合わせられるシーティングなど、いずれもレイアウトの柔軟性に優れています。大学やオフィスの共用スペースなど、多くの人が集まる場所で活躍しそうです。

Niby Table/ laCividina Lab

「Osaka Sofa」および「Wave」シリーズに、アウトドア仕様が登場しました。



Crassevig(クラセビッグ)‐ イタリア
座り心地に定評のあるCrassevigでは、リサイクル素材を使用した新しいスタッキングチェアが発表されました。シンプルなデザインながら、機能性と快適性を両立した一脚です。


Center:Mixis/ Mario Ferrarini
Right:Finna/ Ramos & Bassols


arper(アルペール)- イタリア
今年のArperの展示テーマは「Spaces To」。人と地球のウェルビーイングに向けて、つながり、シンプルさ、そしてインスピレーションをもたらす空間の使い方や関わり方の多様性を表現。Arperスタイルの機能性、エレガンス、色彩、そして温かみが体現されていました。
特に注目を集めたのが、代表作「Catifa」シリーズ。昨年発表されたサステナブル素材を使用した「Catifa Carta」は、シェル部分に29層のクラフト紙を天然樹脂で丁寧に圧着成形した独自のペーパー素材を採用しています。既存のスチールベースやキャスターベース、オーク材に加え、脚部にもペーパーを使用した新モデルが発表され、素材の可能性をさらに広げています。
また、シェルサイズには従来の53cmに加え、コンパクトな46cmが新たに加わる予定です。さらに、樹脂タイプのCatifaでは、シェル部分に100%リサイクルプラスチックを使用したREバージョンや、リサイクルウレタン「Breathair」を用いたクッションなど、環境への配慮が随所に感じられるラインアップとなっていました。




「Pausit Bench」は、空港などのウェイティングエリア向けに開発されたベンチです。短時間の休息から長時間の集中まで、多様な過ごし方に寄り添う快適な座り心地と設計が特長です。


Andreu World(アンドリューワールド)- スペイン
今年2025年に創業70周年を迎えたAndreu Worldのミラノ市内のショールームでは、記念すべき節目にふさわしい盛況ぶりを見せ、多くの来場者で賑わっていました。
ミラノのショールームは、パトリシア・ウルキオラ、Afteroom、ベンジャミン・ヒューバート、ピエルジョルジョ・カッツァニーガ、フィリップ・スタルク、アルフレッド・ヘーバリによってデザインされた最新コレクションを紹介する交流の場となりました。
これらの新作には、環境に対する責任あるデザイン、革新的な発想、そして持続可能性へのAndreu Worldの取り組みが反映されています。
中でも特にパトリシア・ウルキオラによる新作展示は注目を集め、圧倒的な存在感を放っていました。


Andreu Worldのさまざまなコレクションの中でも特に環境への配慮が際立つ「Bolete」チェアは、サステナブルな素材選定において先進的な姿勢を示しています。ベースに使用されているエコピュア・エコサーモポリマーは、100%再生素材で構成されており、リサイクルも可能です。ラウンジタイプにはBIOエコサーモポリマーが採用されており、土に還る素材の開発を通じて、環境対応への積極的な取り組みがうかがえます。


引き続き人気を集めるアウトドア家具のバリエーションもさらに充実。
屋外用モジュラーソファ「Brezal」コレクションは、地中海の風景が持つ本質を捉え、安らぎと快適さ、そしてくつろぎの空間を提供します。
ロープをあしらったチェアや大理石の天板を採用したテーブルには新たなカラーバリエーションが加わり、今年のトレンドを感じさせる魅力的なラインアップとなっていました。



Walterknoll(ウォルターノール)- ドイツ
Walterknollは、ドイツメーカーならではの技術力と細部へのこだわりをもって製品づくりに取り組んでいるメーカーです。
日本国内ではオフィス向けの印象が強いものの、ソファをはじめとするホスピタリティ分野にも適した、高品質な家具を幅広く展開しています。

どの角度から見ても美しく仕上げられたその製品からは、妥協のない姿勢が伝わってきました。レザーの品質にも定評があり、革張りのソファは座った瞬間に肌になじむような心地よさを感じられました。



新作のキャスターチェアは、座面の脱着が可能な構造をしており、長期間の使用による汚れにも対応できる設計となっています。市場ではあまり見られないユニークな構造であり、優れた技術力が機能性と実用性の両面に活かされた好例でした。

Right: Leadchair evo/ EOOS


この他にも、今回ご紹介しきれなかったさまざまなメーカーからも新作が数多く発表されており、それぞれに個性と工夫が感じられる、充実した展示内容となっていました。





今年も多くの新作が発表され、インテリアの世界はますます多彩な広がりを見せています。
住商インテリアインターナショナルでは、今回ご紹介したブランドに加え、他にも多数のブランドを取り扱っており、お客様のニーズに合わせたご提案が可能です。

商品のお見積もりはもちろん、レイアウトや内装デザインのご提案まで幅広く対応しております。
ご相談をご希望の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、当社営業担当もしくはこちらまで。
各ブランドのカタログはこちら